
皆さんこんにちは、今回は夏のストレスカラーの危険性と対処法についてお話ししていきたいと思います。
皆さんは夏場アガベを外管理していますか?
今回の内容は室内管理をしている人向けの内容ではなく、アガベを夏外管理している人向けの内容となります。
夏アガベを外で管理をしているとよく上にある画像のような株が赤色に変色するまたは赤色が進行し紫色に変色することがあると思います。
これをストレスカラーと呼び簡単に説明すると株が光が強すぎるために独自に遮光する働きになります。
私の経験上、夏以外の季節だと成長点が赤くならない限り成長が止まる事は無いので問題は無いのですが、夏の場合は直射日光が強すぎるためにストレスカラーの進行が速く成長点が赤色に変わっていなくても対策が必要と考えています。
なので今回はまずストレスカラーはなぜ起きるのかと言うことを説明した後、実際に夏外管理でストレスカラーが出たときにどのように対応すればいいかなどについてお話ししていきたいと思います。
目次
ストレスカラーなぜ起きるのか
まず最初にこのストレスカラーが起きる理由について説明していきたいと思います。
ストレスカラーが出る原因はそもそも植物は光を浴びて光合成を行いそこからエネルギーを生み出して生きているものになるので、植物により光を吸収できる量がある程度決められています。
この時にその植物に決められている量以上の光が入ってきてしまうと、植物はそれをうまく消化できずに活性酸素と言う有害なものを作ってしまいます。
またこの時にその植物の消化できる量以上の光が入ってきてしまった場合、植物内で光合成しエネルギーに変える仕組みが壊れてしまうことがありこれを光阻害と言います。
この時その装置が壊れてしまうと植物はうまく光合成を行うことができなくなるので、それを防ぎ正常な状態に戻すために葉の表皮細胞でアントシアニンと言う物質を作り出します。
そして、このアントシアニンが今回のお話しするストレスカラーの原因となる物質であり、このアントシアニンがある程度、葉の葉緑体に光を届かないように働きかけ遮光カーテンのようなものを独自で作り出し光の量を制限します。
これにより植物は光の量が制限され光阻害などを起こすことなく光合成を行えるようになるのでストレスカラーとは本来、植物が独自の防衛システムを働かし植物の生命維持に努めているものであり、ストレスを受けていると表しているものになります。
なのでストレスカラーが出た時は、株が今の環境での光を受け止めきれずに葉の細胞がダメージを受ける寸前であるのでアントシアニンで光を制限している状態という事になり適切な処置を行わないと株はどんどんに終わり最悪枯れてしまうといった感じです。
ストレスカラーが起きてその後に起きる被害
先ほどストレスカラーの説明をしましたが、ストレスカラーは株からの危険信号であるのでそれを放置すると良い事はないです。
ストレスカラーのみでは成長が止まる位で被害は止まりますが、それが発展してしまうとより深刻な被害となり最悪株が枯れてしまいます。
ここからは私がいろいろな株を夏外管理で育ててきて、その際ストレスカラーが出た後どのような被害が出たのかをお話ししていきたいと思います。
葉焼け
夏ストレスカラーが出た後に起こる被害で1番多いのは葉焼けです。
私は葉焼けに関しては主に3つ原因があると考えており、それは強い光、急激な環境の変化、水不足の3点であると考えています。
強い光
強い光はそのままで先ほど説明したように強い光を浴びると株は細胞が破壊されるため、独自の免疫システムを動かしストレスカラーになり光の量を調整します。
しかし株が独自で遮光しても限度があり、それ以上の強い光を浴びてしまうと光が葉の細胞を破壊し葉焼けを起こします。
私の経験上、葉焼けは1日でなることが多く特に夏は前日までは被害が出ていなかったのに次の日にひどい葉焼けになり株がダメになってしまうことがかなり多いです。
なので夏は特に株がストレスカラーを出したときには次には葉焼けが起きる可能性が高く、早急に対処しないとあまり良くないです。
急激な環境の変化
これは先ほど説明した強い光と同じですが、光の強さの急激な変化は株が葉焼けする可能性があるのでかなり危険です。
特に発根管理直後の子株などを真夏の直射日光の下に置いてしまうと1発で葉焼けすると思います。
私の経験上、発根管理直後の子株は根張りも弱く光にも弱いため適切な光量は3万ルクス前後であると考えています。
しかし、真夏の直射日光の下は日により10万ルクスを超えるので、そのような環境に子株などをいきなり出してしまうと1発で葉焼けしてしまい取り返しのつかないことになります。
また大株であっても室内管理の環境からいきなり真夏の10万ルクス以上の直射日光の下に置くとなるとかなり危険であり、私の経験上大株でも徐々に光にならさせないと危険です。
なので急激な環境の変化、特に光の変化は株を葉焼けさせる要因を持っているので注意してください。
水不足
水不足も葉焼けになる要素の1つなので注意が必要です。
葉焼けは強い光が葉の細胞を破壊し起こることですが、この時葉の中に水が十分にないと葉焼けは起こりやすくなります。
特に夏はある程度水持ちの良い用土でないと高温と強い直射日光により用土内の水はすぐに乾いてしまいます。
水が乾いてしまうと次は株が温められ、その熱を下げるために株は蒸散を行い気孔から水蒸気を出し葉の熱を下げます。
その工程で株内の水はどんどん水蒸気となり株外に排出され水分がどんどん失われていきます。
その状況で強い光を浴びると葉の細胞が破壊され、葉焼けが起きやすくなってしまうので注意が必要です。
ストレスカラーが出た時の対処
ストレスカラーが出た後は葉焼けが起きやすい状況になっているので注意が必要であり、特に夏は早めに対処する必要があります。
ここからは私が実際に夏、外管理でストレスカラーが出たときに行っている対処の手順についてお話ししていきたいと思います。
①日陰にまず移動させる
まずストレスカラーが出た時、私は日陰に株を移動させます。
理由としてはストレスカラーが出た時、株はおそらく水分不足に陥っており株内に水分が少なく水蒸気を出して温度を下げることができずに熱がこもっている可能性があるのでまずたっぷりと水を与えて株を冷まします。
この時、日陰は風通しが良い湿度がそこまで高くない場所を選んで置いています。
その理由は風通しが悪く湿度が高い場所であると外の場合、虫が繁殖して被害が出る可能性があるからで特にストレスカラーが出ている株は免疫力なども落ちておりその状態で虫の被害にあうとかなり危険です。
その株だけが虫の被害にあって終わればまだ良いですが虫は飛び回り他の株に被害をもたらします。
実際に私はストレスカラーで弱った株を湿度が高く風通しが悪い日陰で管理をしてしまい虫が大量に発生しいろいろな株に被害が出たことがあるので、なるべく風通しが良く湿度が低い日陰を用意してください。
この時風通しが確保できない場合は、サーキュレーターなどを置くなどして、対策をすれば問題はないかと思います。※サーキュレーターである程度湿度も低くなります
その環境で大体1週間ほど様子を見てストレスカラーがなくなるまたは少し出ている位になったタイミングで次の環境に移行します。
②半日陰
次は半日陰のほうに株を移動させて様子を見ます。
私が考える半日陰の環境は日照時間が約6時間以下の環境で夜含めて18時間ほどは日陰が確保される環境のことをいいます。
この環境で株の調子を見ながらストレスカラーが酷くなるようなら徐々に日照時間を減らしていき丁度いい時間まで株を調整します。
もしストレスカラーが酷くなったら①の工程に戻せば問題ありません。
またこの半日陰の環境が確保できない場合はアマゾンなどで売っている遮光ができる布などを購入してその下で少し直射日光を遮光した環境で育てても問題ないと思います。
過去に私もその環境で株を育てたことがありますが、時間帯によって日陰の位置がズレる可能性があるのでその点では注意が必要となります。
使う際は1度2〜3時間おきで問題ないので日陰の位置が朝と昼または夕方などでどれぐらいズレるのかを確かめた方がいいです。
大体この環境で1週間ほど様子を見て、ストレスカラーがなくなるまたは緩和されたら次の環境に移行します。
③元の環境
①②が終わり順調に行けば元の直射日光の下に株を戻してまた育成をスタートさせるといった感じです。
この状況で、もしまたストレスカラーなどが出た場合
成長点まで赤くなるほどのひどい場合は①の環境に戻し育てる。
少しストレスカラーが酷くなった場合は一つ前の②の環境に戻して育てるといった感じで対処すれば問題は無いかと思います。
夏の外管理は色々と株にダメージが入ったりするので注意が必要であり、特に光に関しては1年を通しても1番強いので被害が深刻になりやすいかと思います。
ですが、ちゃんとその被害や症状の状態を理解しその後にどのような対処をしたらいいかをわかっていればどのような被害が出てもスムーズに対応できるかと思いますので皆さんの方でベストな環境を見つけてもらえれば問題はないかと思います。
その際この記事が皆さんのアガベ育成に少しでもお役に立てればうれしいです。
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